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研修中に講師が話している時間は全体の2割以下、場合によっては1割以下でもいい。

埼玉県三郷市からは、ファシリテーションをIT研修やラグビースクールのコーチングなどで実践されている長谷川さんです。技術研修へのファシリテーションの実践やラグビースクールでのファシリテーションの活用などについてお話を伺いました。

 

 

 

Q. まず、あなたのことを教えてください。

 

A. IT企業などで、IT技術やヒューマンスキル研修の講師を行っています長谷川です。
講師として、参加者の方の学びを促進する、というファシリテーションを行っています。
また子どものラグビースクールでもコーチとして子供達を指導しています。

 

 


Q. 今回、ファシリテーションの実践事例を紹介いただけるとの事ですが、どのような実践をされているのでしょうか?

 

A. 研修というと、講師が説明をして、簡単なワークショップをして、のような形を思い浮かべる方が多いと思いますが、私はプログラミング技術を学ぶような技術研修においても「自ら学ぶ姿勢」を引き出すことを意識し、グループワークでの研修を実施しています。
技術研修ですが、1から10まですべて説明するようなことは行っていません。
コミュニケーション、コーチング、などのヒューマンスキル系の研修については言わずもがなです。
いずれの場合にも、学びたい気持ちを最初に作り、学んでもらいたい内容について気づいてもらえるような課題にグループで取り組んでもらうことが基本的な形となります。

Q. 実践内容をもう少し詳しく教えてください。

 

A. 研修が始まると同時に4~6人のグループを作り、講師から課題を出してそれにグループワークにより取り組んで行く中で、多くの気づき、学びが得られるようにカリキュラムを設計します。
講師の側から正解を示すようなことはせず、グループワークの中で考えたこと、気づいたことを発表していただき、それを元に研修を進めていきます。

 

このような参加型の研修では「受講者が自主的に参加すること」がとても大切になりますので、参加したい、というモチベーションを作ることが最初の仕事になります。
モチベーション作りと、学び、気づきを生む課題の設定が、教育ファシリテーターの仕事です。
具体的に言うと、私が課題と呼んでいる「問いかけ」が学習の基本的な道具になります。


例えば、技術研修では「コンピューターって何?」という問いかけをし、グループで考えてもらいます。今時コンピュータを使ったことがない人はいないのですが、改めて考えるときちんと定義することができる人はほとんどいません。
そこで、講師の側から納得の出来る「正解」を示すことにより「知らないという事実」に気づかせ、「学ばなければならない」という気持ちを引き出せます。
また、技術そのものを学ばせる際にもグループに対して作るべきものを示し、「どうやったら作れるかを考える」という課題として提示します。

 

技術的な内容を説明してそれを理解させる、というような方法はとりません。
どのように技術を理解し身につけるのか、というのも考えてもらいたい内容だからです。

 

 

Q.「コンピューターって何?」という問いかけ、確かにどう定義するかわかりませんね。それは何でしょうか。


A. 絶対の正解があるわけではないのですが、私が使っている答は・・・ひみつ、です。
悩んでみてください(^^

Q. ラグビーコーチとして、ファシリテーションを活かせていることってどんなことがありますか?

 


A. ラグビーのコーチングにファシリテーションを活かす、というと特別なことのように思われがちですが、自主性を引き出す、考えさせる、気づきにより成長させる、相互作用を有効に使う、などはファシリテーションとなんら変わりません。

 

実際に両方に触れていると、コーチングもファシリテーションも同じ分野の技術だということを実感します。
グラウンドで子どもに対してコーチングをすることは、コーチングを失敗すると「やだー」という言葉が返ってくるなど、大人相手のファシリテーション、コーチングとは比べものにならないぐらいシビアです。
子ども相手にコーチングをすることで、ファシリテーションスキルも鍛えられてきたと考えています。

 

 

 

Q. その結果どのようにあなたやその周りの人達が変わりましたか?
 

 

A. このような「受講者による学び」を実現する研修を続けていく中で、私自身が「人間の可能性」を信じることができるようになりました。

「人が成長していく姿」というのは、研修におけるファシリテーションでも、ラグビーのコーチングでも見られますが、ラグビーのコーチングでは時間的な制約が少ないこともあり「教える部分(ティーチング)」を極力減らし、自らの気づきによる成長をより純粋な形で見られます。

気づきや自主性を育てることによる成長というコーチングの成果をより純粋な形で見られることは、コーチングやファシリテーションというスキルの有効性を再確認すること、また成果が出るまで安心して待てることにもつながっています。

 

ラグビースクールに来る子どもや、新人研修に参加する方には、親や教師から失敗を責められることで、自ら挑戦する力をなくしていることがあります。
そのような人達は、失敗しないようにすることしか考えられなくなってしまい、やれと言われたことしかしなくなります。
そんなときには、自由に行動できる環境を用意し「どうやったらできるかな?」という問いかけをし、少しでも自発的な言動が見られたら「いいね」「できたね」というような声かけをしていきます。
それにより少しずつ、また時には急激な変化を起こして、自ら挑戦する力を取り戻し、自発的な行動ができるようになり、それにより私が想像もしていなかったような成長を見せてくれるようになります。

これらのファシリテーション、コーチングなどによる「人の力を引き出す」ことの大切さとその威力を再認識することで、それらをより極めたいと考えるようになりました。
 

 

今では、このようなファシリテーション、コーチングをベースにした人材育成に興味を持つ人達と共に勉強会を開催し、人の力を引き出す人材育成の文化を広めていきたいと考えて活動しています。

 

長谷川さん

長谷川 貴則さん 

埼玉県三郷市在住

ICT技術の知識と経験を持った講師として、ファシリテーション、コーチングスキルを核とした、ヒューマンスキル研修、技術系新人研修等を実践。

「考える力は生きる力」をキーワードとし、育てる技術を伝えることで、人の力を引き出し、チームの力を引き出し、企業を変えて、日本を変えていくことをライフワークとされてます。

また、ラグビースクールのコーチとしても活動されており、その経験に基づいた人材育成談は必聴です。

本文中にでてきた勉強会の情報はこちら。

 ↓

「未来教育、育成チーム」

https://www.facebook.com/groups/1511502422450217/

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